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 ラミアはトーガの袖から『自然論』の入った巻き筒を取り出すと、地面に寝そべり読み始めた。だが道を空けろと知らせる奴隷の叫び声がして、輿が狭い葡萄の小径を登ってくる。御簾の上がった輿が近づいてくると、でっぷり太った老人がクッションに横たわり、額に手をやり陰気で尊大な目つきで見つめているのが見えた。力強く尖ったあごをした口の上に、鷲鼻がぶら下がっている。
 そばに来ると、その顔には確かに見覚えがあった。名を呼ぶのをしばしためらったが、すぐに驚きと喜びを表しながら輿の方に駆け寄った。
「ポンティウス・ピラトゥス! ふたたび会えるとは、神々に感謝せねば!」
 老人は奴隷に止めるよう合図すると、声をかけた人物にじっと目を凝らした。
「ポンティウス、泊めてくれたのを覚えてませんか。あれから二十年で髪は白くなり頬はくぼんでしまって面影はないだろうが、アエリウス・ラミアです」


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